Vue.js 2.xは2023年12月31日をもって公式サポートが終了し、新バージョンのVue.js 3.0に置き換わることがEvan You氏から正式に発表されました。これにより、Vue.js 2.xには今後セキュリティアップデートやバグ修正が提供されなくなります。

この記事では、私たちがVue.js 2からVue.js 3.xにシステムをアップグレードしたプロジェクトについて共有したいと思います。

なぜVue.js 3.xにシステムをアップグレードする必要があるのか？

Vue 3は多くの新機能と改善点を提供します。

① パフォーマンスの向上

Vue.js 3は完全にTypeScriptで再構築され、以前のバージョンよりも高速で軽量です。新バージョンはWebpackではなくViteをビルドツールとして使用し、ビルド速度とソースコードの最適化において多くの利点があります。これにより、ソースコードのファイルサイズが削減され、ページの読み込み速度が大幅に向上します。

② 新機能

Vue.js 3は、Composition API、Teleport、Fragments、Suspenseなどの新機能を導入しています。これにより、状態管理やロジックの再利用がより柔軟になり、コード構造が改善され、プロジェクトの拡張性と保守性が向上します。

③ 長期サポート

Vue.js 2は最終的にサポートが終了するため、セキュリティアップデートやバグ修正が提供されなくなります。Vue.js 3への移行は、プロジェクトがセキュリティ脆弱性やソフトウェアのバグから保護されるための必要な更新を受け取ることを保証します。

④ライブラリとの互換性

多くの人気ライブラリやプラグインがVue.js 3とより良く互換するように更新されました。これにより、新機能の開発が容易になり、JavaScriptエコシステムの最新技術を活用できます。

Vue 2を引き続き使用することは、セキュリティリスクを引き起こし、アプリケーションのエラー発生率を高める可能性があります。これらの問題については、https://pirago.vn/ja/article/vuejs-3-0-release/ でさらに詳しく読むことができます。

アップグレードの分析と計画プロセス

実施過程で、さまざまな移行計画を分析し提案しました。以下はその一部です。

① 2段階のアップグレードに分ける方法

段階1：Vue.js 2からVue.js 2.7へのアップグレード 

段階2：Vue.js 2.7からVue.js 3へのアップグレード

メリット：

1. 中断が少ない：Vue.js 2.7は中間バージョンで、Vue.js 3と似た機能を持ちながらもVue.js 2のAPIサポートを維持しています。これにより、スムーズな移行が可能です。
   参照リンク: https://tech-blog.lapras.com/techBlogs/vue-2-7-upgrade-guide
2. アップグレードが管理しやすい：段階的なアップグレードは、一度に全てを処理するよりも、個々の互換性の問題を徐々に解決できるため、管理が容易です。

デメリット：

1. 時間がかかる：2段階のアップグレードは、直接アップグレードよりも時間がかかります。
2. 徹底的なテストが必要：プロセスを簡素化しますが、Vue.js 2からVue.js 2.7、そしてVue.js 3への移行時には、それぞれのステップでエラーがないか徹底的なテストが必要です。
3. 互換性の問題の可能性：直接アップグレードより少ないですが、それでも互換性の問題が発生する可能性があります。

② Vue.js 2からVue.js 3への直接アップグレード

メリット：

1. 迅速な更新：直接アップグレードは、最も速くVue.js 3に移行できる方法で、新機能や性能向上を早く利用できます。
2. 支援ツールの利用：Vue.jsにはvue-migration-helperなどの支援ツールや詳細なドキュメントがあり、アップグレードを簡単にします。
3. Vue.js 3の利点を直接活用：Composition API、Fragment、Teleportなどの機能改善をすぐに利用できます。

デメリット：

1. 中断のリスク：多くのプラグインやライブラリに依存している場合、これらがVue.js 3に対応していないと大きな中断を引き起こす可能性があります。
2. 多くのコード変更が必要：多くのAPIや機能が廃止または変更されているため、コードの大幅な変更が必要となる場合があります。
3. メンテナンスの難しさ：プロジェクトが大規模で複雑な場合、直接アップグレードはコードの管理とメンテナンスを困難にする可能性があります。

アップグレード方法の選択は、プロジェクトの規模、外部ライブラリへの依存度、開発チームの変更管理能力など、さまざまな要因に依存します。

分析の過程で、顧客の要望である「コストを最小限に抑えた迅速なアップグレード」を基に、Vue 2からVue 3への直接アップグレードを選択しました。

システムのアップグレードとリリース

システムをアップグレードする方法を選択した後、開発およびユーザーへの展開の計画を立てました。

ステップ1：現状評価 

目標: 現在のソースコードを詳しく理解し、変更または最適化が必要な部分を特定する。 

具体的な活動 

・ソースコードの確認: 現在の全ソースコードを評価し、Vue.js 2 を使用しているコンポーネント、モジュール、および機能を特定する。 

・依存関係の特定: Vue.js 2 に依存するすべてのライブラリとプラグインをリストアップし、それらの Vue.js 3 との互換性を確認する。 

・複雑さの評価: 各部分のコードの複雑さを分析し、アップグレードに必要な労力を特定する。 

結果: ソースコードの現状、依存関係、およびプロジェクトの複雑さに関する詳細な報告書。

ステップ2：段階的な展開 

目標: アプリケーションの各部分を段階的にアップグレードすることで、リスクを最小限に抑える。 

具体的な活動: 

・フェーズの分割: プロジェクトをモジュールや機能に基づいて小さなフェーズに分割する。 

・重要な部分を優先: アップグレードプロセスに慣れるために、複雑さが少ない部分や依存関係が少ない部分から始める。 

・各フェーズのテスト: 各部分をアップグレードした後、テストを実行して安定動作を確認し、次の部分に進む。

 結果: 段階的にアップグレードされたアプリケーション、リスクの最小化と管理の容易さ。

ステップ3：包括的なテスト 

目標: アップグレード後にアプリケーションが安定して動作し、エラーがないことを確認する。 

・具体的な活動: ユニットテスト: 各コンポーネントが正しく動作することを確認するためのテスト。 

・統合テスト: 異なるコンポーネント間の相互作用を確認し、正常に連携することを確認するテスト。 

・機能テスト: アプリケーションの機能が期待通りに動作することを確認するテスト。 

・パフォーマンステスト: アップグレード後のアプリケーションのパフォーマンスを評価し、性能低下がないことを確認する。 

結果: アプリケーションが安定して動作し、技術要件を満たしていることを確認するための包括的なテスト報告書

ステップ4：正式な展開 

目標: アップグレード版のアプリケーションを本番環境に展開し、安定した動作を確保する。 

具体的な活動: 

・環境の準備: 本番環境が新バージョンと互換性があり、準備が整っていることを確認する。 

・段階的な展開: アプリケーションの規模と許容リスクに応じて、段階的または同時に展開を行う。 

・監視とサポート: 展開後、アプリケーションを厳密に監視し、発生する問題を迅速に解決する。展開後初期段階でエンドユーザーに継続的なサポートを提供する。 

結果: 本番環境で成功裏に展開され、安定して動作し、ユーザーの要求を満たすアプリケーション。

実装過程でのいくつかの課題

Vue 3のAPIの変更

Vue.js 3は多くの大きな変更を伴って登場しました。これにより、開発チームは新しいAPIの使い方を学び、理解する必要があり、このプロセスは時間がかかり、初期段階での困難を引き起こす可能性があります。 

しかし、経験豊富な開発チームのおかげで、Vue 3のプロジェクトをいくつも成功させてきたため、この問題に多くの時間を割く必要はありませんでした。また、定期的にトレーニングや実践セッションを開催し、開発チームが知識を習得し、強化できるようにしました。

ライブラリおよびプラグインの互換性 

多くの古いライブラリやプラグインがVue.js 3と互換性がない場合があり、エラーや正しく動作しないことがあります。時には、これらのライブラリやプラグインがVue.js 3に対応する更新を待つ必要があります。 

この課題に対しては、現状評価の段階からリスク管理計画を立て、使用中のすべてのライブラリやプラグインをリストアップしてチェックし、更新または置換が必要なものを特定しました。更新がない場合は、Vue.js 3と互換性のある代替ライブラリやプラグインを探します。

テストと品質保証 

アップグレードプロセス中に多くの新しいバグやエラーがアプリケーションに導入される可能性があります。プロセスの最後にテストを実施すると、多くの時間とリソースが必要になります。 

アップグレードの最後の段階でテストを行うのではなく、各アップグレード段階後に部分ごとにテストを実施して、早期にエラーを発見し修正するようにしました。

パフォーマンスと最適化

Vue.js 2からVue.js 3へのコード移行のみを行うと、非互換性により多くの機能でパフォーマンスの問題が発生する可能性があります。 

この課題に対処するために、アップグレードプロセス中にソースコードを最適化し、Vue.js 3上で最高のパフォーマンスを確保しました。各開発段階後に評価を行い、品質を常に改善するよう努めました。

システムの継続性の確保

アップグレードプロセスはアプリケーションの運用に中断を引き起こし、エンドユーザーに影響を与える可能性があります。

これはシステムアップグレードにおける最大の課題です。 テスト、展開、および障害時の予備計画に関して、詳細な計画を常に立てています。

 例えば、devとstaging環境でテストを実施し、新システムを正式にリリースする前に並行して試験を行い、実装前に完全なデータバックアップを行います。

結論

Vue.js 2からVue.js 3へのアップグレードは複雑なプロセスであり、綿密な準備が必要です。詳細かつ体系的な計画を遵守することで、リスクを最小限に抑え、プロジェクトの効果と成功を確保することができました。

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